幼稚部2年生「小鳥のお話」

「豆まきに備えて、鬼の嫌いなやいかがしを作ろう!」という話をし、ひいらぎを取りに出発した矢先、事件が起きました。教室のすぐ外で、小鳥が死んでいたのです。

 子どもたちは心配そうに、小鳥に駆け寄りました。

 ひいらぎを取るのが当初の目的でしたが、このような事件が起きて、子どもの関心は小鳥に釘づけです。そこで、ひいらぎは後回しにして、みんなで小鳥の話をしました。

「木にぶつかったのかな」「他の鳥とぶつかったんだよ」「カラスのおうちに入ろうとして怒られたんじゃないかな」「寒くて死んじゃったんだ」・・・様々な話が、子どもたち全員から出てきました。実際には見ていないものを考えようとする想像力に、感心させられました。

 「死んじゃった。もう動かないんだよ。雨が降っても、寒くても、ずっとここにいるんだよ。かわいそうだから、あたたかい土の中に埋めてあげよう」

 先生にそう言われ、子どもたちは小鳥のために、「ここがあたたかいよ!」と言いながら、埋める場所を探していました。

みんなで1つの穴を掘って、小鳥を埋めました。途中で飽きたり遊んだりする子どもは誰もいませんでした。1人1本ずつ枝を刺して、お墓を作りました。

 その後、ひいらぎを取った帰りに、「小鳥は元気になったかな」と子どもたちが言いました。言葉で説明を聞いても、死というのはイメージするのが難しいものですね。それはこれから様々な経験を重ねて少しずつわかっていくことで、今は、小鳥を思う子どもたちの優しさを何よりも大切にしてあげたいと思いました。ひいらぎを手に持ちながら、まだ小鳥が土の中で休んでいることを確かめ、教室に戻りました。

その後、その場にいなかったお母さんや他学年の友達と先生に、「小鳥を埋めた」ということを一生懸命説明する子どもたちの姿がみられました。それだけ強い印象が残ったのだと思います。

 小鳥さん、子どもたちに命を教えてくれてありがとう。ゆっくり休んでね。