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 昨年4月に本校に着任し、2年目を迎えます。この春は、つぼみが膨らむ段階から本校自慢の桜が開花する様子を見守り、満開の美しさを十分に堪能することができました。国府台での四季を一通り経験し、今年度は1年をおよそ見通せるという安心感から少し余裕があるのかもしれません。とても和やかな気持ちで新年度を迎えることができました。歴史と伝統のある学校である故の責任の重さは十分に感じながらも、本校の教育・研究が一歩でも前進できるように、また本校に課せられた使命を着実に果たしていけるように、今年度も学校運営に専心してまいります。

 さて本校は、我が国の国立大学に附属する学校の中で唯一、聴覚障害のある幼児・児童・生徒を教育対象とする特別支援学校です。筑波大学の附属学校として、筑波大学の教育・研究に貢献することはもちろんですが、我が国で唯一の学校として、全国の聴覚障害教育を先導する教育・研究に取り組み、聴覚障害教育の進展に寄与することが期待されています。近年は、増加傾向にある人工内耳を装用する子どもを対象とする研究に取り組み、従来培ってきた聴覚障害教育の指導方法の有効性を改めて検証するなどしています。

 また、特別支援教育(特に聴覚障害教育)の専門性を有する学校として、現職の教職員等を対象とする研修事業を実施し、専門性の向上やスキルアップにも貢献しています。加えて、海外(フランス、韓国、台湾)の聾(ろう)学校とも国際交流協定を締結するなどして長年交流を続けており、国際教育にも取り組む特別支援学校という独自性も有しています。

 このように、先導的教育、教師教育、国際教育においてリーダーシップを発揮することは筑波大学の将来構想の基本方針でもあり、3拠点(先導的教育拠点、教師教育拠点、国際教育拠点)構想に基づく形で、本校も教育・研究の充実及び各種事業の展開を図っているところです。

 現在、我が国は「障害者の権利に関する条約」に添うようインクルーシブ教育を実現するシステムの構築を目指しています。その中で、特別支援学校が果たす役割は今まで以上に重要になり、大学附属校でもある本校は、その先駆けとなるよう対外的な発信や支援に、一層注力していく必要があります。「今、目の前にいる子どもに何ができるか」を問い続ける教育の本質を大切にしながら、様々な学びの場における「個別最適な学び」と「協働的な学び」の実現に向け、特に小・中学校等で学ぶ子どもたちのサポートにも積極的に関わっていければと考えています。教職員が一丸となり、聴覚障害のある幼児・児童・生徒の気付きを引き出し、可能性を広げる教育を目指してまいります。

 本ホームページでは、本校の教育活動のすべてをご紹介できませんが、少しでも本校のことを知っていただくために、随時内容を更新していく予定です。機会がありましたら、是非本ホームページにお立ち寄りいただき、学校の日常や本校の取組をご覧いただければ幸いです。また、0歳児から受け入れている乳幼児教育相談をはじめとする教育相談業務も行っております。お困りのことがあればお気軽にご相談いただければと存じます。

令和5年4月         

筑波大学附属聴覚特別支援学校 

校長  西垣 昌欣(にしがき まさよし)