APCD2006の開催

※創立150周年記念誌より抜粋・要約

2006(平成18)年、第9回アジア太平洋地域聴覚障害問題会議(APCD)が、日本で初めて開催されました。これは1975年の聴覚障害教育国際会議以来となる国際会議であり、全日本聾教育研究大会第40回大会との共催として実現したものです。テーマは「聴覚障害教育の専門性の継承・革新・共有」で、多くの機関の協力のもと、大規模な準備と運営が行われました。

この年の全国大会は関東地区が主管となり、本校(当時:筑波大学附属聾学校)が主管校を務めました。執筆者である本校元副校長・今井先生は、APCD大会の事務局長として中心的役割を担い、各方面との調整、資金確保、関係機関への交渉など、多岐にわたる業務に奔走しました。多忙を極める中で、教職員やPTA、関係団体の支えを受けながら大会を成功へと導きました。

なかでも大きな支えとなったのが、前任副校長の馬場先生と、教務主任の赤根先生でした。馬場先生は、附属聾学校には「聾教育の基本を守る内なる使命」と「国際連携を担う外なる使命」という二つの役割があると示し、その理念は大会運営の根幹となりました。赤根先生は大会事務局次長として、後援団体や企業への働きかけ、全国の聾学校との連絡調整、海外大会への出張など、準備段階から幅広い実務を先頭に立って進めました。大会ロゴやポスター制作、企業との交渉など、創意と行動力に富んだ取り組みも多く、附属聾学校を代表する責務を果たされました。2009年の急逝は関係者にとって大きな痛恨事でした。

大会運営にあたっては、皇室からのご臨席を賜るため、宮内庁や秋篠宮邸への訪問も行われ、附属聾学校としての責任の重さを改めて実感する機会ともなりました。当時は、聾学校の統廃合や特別支援教育への転換など、教育制度が大きく揺れ動く時期でもありましたが、本大会は聴覚障害教育に携わるすべての人々に希望と活力をもたらしたといえます。