聴覚障害教育の先導的・教師教育の拠点事業
※創立150周年記念誌より抜粋・要約
文部科学省は、聴覚障害教育に関わる教員の専門性向上を目的に「聴覚障害教育担当教員講習会」を計画し、筑波大学が委託を受けて実施してきました。本校では、1974(昭和49)年から2019(令和元)年までの46年間、文科省と共催でこの講習会を実施し、全国の聴覚障害教育を牽引する教員研修の場としての役割を果たしてきました。
講習会は、筑波大学人間系の教員と本校副校長を中心とする「研究会対策委員会」が企画・運営を担い、受講者のニーズに応じて内容を構成してきました。開催には、①聴覚障害児への指導法を取り上げること、②手話通訳や要約筆記の対応、③全学部の授業公開などが求められたため、入念な準備が必要でした。講習期間は当初5日間で、のちに4日間、3日間へと短縮され、延べ3,917名が受講しました。内容は大学教員等による講演、本校教員による講義、実践報告、授業公開、研究会など多岐にわたり、毎年改善を重ねながら実施されました。
この講習会は、本校が年間を通じて全職員で取り組む数少ない大規模研修の一つであり、対象が各地の中堅教員や指導主事ということもあり、授業担当者は高い専門性をもって準備にあたりました。執筆者の本校校長の伊藤先生は、教員の働き方改革という概念が浸透する以前、教職員が講義や授業の成功に向けて昼夜を問わず尽力していた様子を回顧しています。
平成18年度には、アジア太平洋地域聴覚障害問題会議(APCD)と全日本聾教育研究大会が同時開催され、本校も多数の授業を公開しました。この多忙な年度においても、講習会を途切れさせてはならないとの強い使命感から、例年通り実施されました。本校の教職員の底力が発揮された年でもありました。


