補聴システムの開発について
※創立150周年記念誌より抜粋・要約
執筆者の本校元教諭で、現在は信州大学に在職されている庄司先生は、昭和63年に札幌聾学校から本校に着任し、平成20年までの約20年間、幼稚部担任や乳幼児教育相談に携わる中で、筑波大学との連携による補聴システムや聴覚活用、言語指導に関する実践研究に深く関わってこられました。
補聴システム開発の拠点は、かつて歯科技工科棟にあった国府台研究室で、星龍雄先生、齋藤佐和先生、志水康雄先生らが中心となり、全国から集まる内地留学生や附属教員と日々議論を交わしながら、日本の聴覚障害教育の最前線を切り拓いていました。昭和40年代、幼稚部設置とともに集団補聴器が普及し始め、特に磁気ループ型は個人補聴器との親和性が高く重宝されましたが、混信や出力の不安定さといった課題も抱えていました。
こうした課題に対応するため、研究室ではリオン株式会社と協力し、新たな補聴システムの開発に取り組みました。試行錯誤の末に生まれたのが「フラットループ式集団補聴システム」で、これは複数のループ線を教室に八の字状に敷設し、異なる位相の電流を流すことで安定した出力と混信の防止を実現しました。昭和55年には幼稚部に導入され、その設置作業は教員や内地留学生らの手によって行われたといいます。
また研究室では、補聴器フィッティング法「60dBフィッティング」や、子ども同士の会話を可能にする相互通話型補聴器、家庭用ループの開発など、聴覚活用環境の整備が進められました。星先生は「たとえPrimitive levelの聴覚活用であっても、全人的な発達に意味がある」と述べ、子ども一人一人に応じた補聴支援の在り方を大切にされていました。
現在も本校では、幼稚部から高等部に至るまで集団補聴システムを活用しており、近年はデジタルワイヤレス補聴援助システムの導入も進められています。両システムの併用が可能な環境整備も行われており、時代に即した支援体制の維持と進化が続いています。
