第50回全日本聾教育研究大会(附属大会)

※創立150周年記念誌より抜粋・要約

平成28年10月13日・14日、本校を主会場として第50回全日本聾教育研究大会(附属大会)が開催されました。これは、全日聾研50年の節目にあたる大会であり、これまでの歩みを振り返りながら、新たな課題への方向性を探る意義深い場となりました。執筆者である元主幹教諭の橋本先生は、この大会が本校創立150年の歴史においても記憶に残る出来事であり、関東地区聾教育研究会加盟25校と協力し、本校が主管したことに大きな意味があると述べています。
附属大会の主題は「聴覚障害教育の専門性のさらなる追究と共有」であり、社会の変化に応じて新たに求められる専門性を明確にし、これまでの教育実践とあわせて各校で共有し、日々の教育に生かすことが目指されました。本校では平成25年度から準備を開始し、全学部・寄宿舎を含めた授業研究に取り組みました。普段通りの授業を公開することで専門性を共有し、授業研究会や分科会での議論を深める機会としました。
大会には900名を超える参加者が集い、授業研究・研究協議あわせて106件の発表が行われました。基調講演では、齋藤佐和先生が聴覚障害教育の歴史と「自然法」の重要性を語り、四日市章先生は、現代の教育課題やエビデンスに基づく指導の必要性について提言されました。また、記念式典では秋篠宮妃殿下と眞子内親王が臨席され、手話でお祝いの言葉をいただいたことは参加者の心に深く残る出来事となりました。
研究協議分科会は15に分かれ、乳幼児期から卒業後支援、言語や自立活動、国際教育に至るまで幅広い専門領域を網羅し、各大学や研究機関の有識者が助言者を務めました。なお大会は、本校の施設を最大限活用し、近隣大学の協力も得ながら、予算規模を抑えて実施されました。教職員100名以上が役割分担を担い、渉外や受付、設営なども外部委託せず丁寧に準備を進めました。
この大会から10年近くが経過しましたが、現在もなお、専門性の継承や教育的ニーズの多様化、補聴機器の進化といった課題に対応することが求められています。今後も全国の聴覚特別支援学校と連携しながら、本校がその中心的役割を担っていくことの重要性が示されています。