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創立130周年記念式典 学校長式辞

今日は筑波大学附属聾学校の創立(そうりつ)130周年(しゅうねん)をお祝いする日です。

おおぜいのお客様もいらっしゃって、みなさんといっしょに祝ってくださいます。

私たちの学校は、明治8年、楽善会(らくぜんかい)ができた年を創立の年としています。楽善会は、日本にも盲学校や聾学校を作ろうという志(こころざし)をもった人たちの集まりで、その最初の会が開かれたのが5月22日でした。学校ができて生徒が入学するまで、それからまだ5年間の準備が必要でしたが、1875年5月22日は私たちの学校の基礎(きそ)が出来た日と考え、創立記念日(そうりつきねんび)を5月22日としました。130年の間に学校の場所も名前も何度か変わってきましたが、平成16年度から、私たちの学校は国立大学法人筑波大学附属聾学校となり、国府台(こうのだい)のゆたかな自然環境(しぜんかんきょう)の中、新しい校舎(こうしゃ)で21世紀を元気に歩き出しました。

明治以来、附属聾学校は、日本の聴覚障害教育の代表校(だいひょうこう)としての役目を果たしてきました。その成果は、りっぱな社会人として活躍している多くの卒業生によって証明されています。最近は大学や大学院に進学し、聾学校の先生となる卒業生もふえてきました。2001年に、多くの人たちのねがいがかない、欠格条項(けっかくじょうこう)の改正が実現し、医師(いし)、薬剤師(やくざいし)などの国家資格(こっかしかく)の取得(しゅとく)が可能になりました。みなさんの将来の可能性は、また一歩ひろがりました。困難の大きかった時代に、みなさんの先輩(せんぱい)、家族の方々、先生方が一歩一歩道を切り開いてくださったことを忘れず、今度はみなさんがバトンをうけつぎましょう。附属聾学校の生徒であることにほこりをもって勉強し、さまざまな経験を通して成長し、やがて自立し力強く21世紀を生きていってほしい、それは今日、記念式典に参加した私たちみんなの心からの願いです。

これからの聾学校は、魅力的(みりょくてき)な学校になるとともに、小学校・中学校など、また他の特殊学校と手をつないで協力し合っていくことが期待されています。附属聾学校は、とくに全国の聴覚障害教育のセンターとしての役割がますます大きくなっていくことでしょう。これからは、本校の教育をさらに充実させていくとともに、筑波大学そして他の附属学校と強く連携(れんけい)して、新しい役割も引き受けていきたいと考えます。

最後にご来賓の皆様に一言御礼を申し上げます。本日はご多忙の中、本校創立記念式典にご列席いただきまして、誠にありがとうございました。5年の歳月をかけて校舎の全面改修が実現しました。来年秋、アジア太平洋地域聴覚障害問題会議が日本で開催され、本校は主管校として授業公開を行いますが、その舞台も整いました。これは、関係の皆様方の本校に対する暖かいご支援の賜であり、この機会に改めて厚く御礼申し上げます。本校の発展をこれまで支えてくださったすべての皆様に、今後も変わらずご支援を賜りますようお願い申し上げ、130周年にあたってのごあいさつといたします。

国立大学法人筑波大学附属聾学校
校長 斎藤 佐和