喜 び の 辞

日毎に暖かくなり、桜の開花が待ち遠しい中で、五年にわたる改修工事がようやく終わり、新しい校舎の完成を迎えました。

自分自身も、寄宿舎、中学部、高等部の改修と共に成長したような気がします。私が中学二年生のとき、寄宿舎が新しくなり、昔の寄宿舎への感謝の気持ちと新しい寄宿舎の中で頑張ろうという決意を込めて、「『おばあちゃんの家』へ さようなら」という題で、作文を書きました。その気持ちは今でも覚えています。

それから五年後、かつての校舎の面影はなく、風景も一変し、すっかり明るく近代的になりました。

落書きしてある机、床がはがれたぼろぼろの廊下、いつ幽霊が出てもおかしくない不気味な雰囲気を持った校舎や寄宿舎などが懐かしく思い出されます。

高等部を改修しているこの半年ぐらいの間、授業中でも鳴り響く工事の騒音や引越の連続で本当に大変でした。

けれども専攻科の実習室をロッカーで区切った教室で授業を受けたり、文化祭の時、取り壊しの決まっている壁にペンキで思い切り絵を描いたりしたことは楽しく忘れられない思い出となっています。

携帯電話、テレビの字幕放送、コンピュータなどにより情報を得られるようになった時代を反映して、私たちの校舎にも情報をすぐに文字で知ることができる装置がつけられました。また、車椅子に対応したスロープやエレベーターも設置されました。

これらは二十一世紀に相応(ふさわ)しいバリアフリーへの第一歩です。

変化が目まぐるしい二十一世紀の中で、私たちは自分の可能性をさらに伸ばすように努力しなければなりません。

そのために、この学校の生徒であることに誇りをもって勉強し、友だちとの絆(きずな) を大切にしながら様々な経験を積んでいきたいと思います。

このように新しく快適な環境を与えていただき、友だちと切磋琢磨できることを大変嬉しく思います。

先日、新しい体育館で卒業式が行われました。卒業なさった先輩方は同窓会の方々にいただいた緞帳の重みを感じながら、広く立派になった体育館の最初の1ページを開いたことに誇りを持たれたことでしょう。

私たちはこの新しい校舎でこれから始まる歴史のスタート地点にいます。

20年、30年先に後輩たちが快適な学校生活を送れるように大切に使い、新校舎に負けないように、新たな気持ちで頑張っていきましょう。

中庭には鴻友会(こうゆうかい)からモニュメント時計が寄贈されるとお聞きしました。

新しい歴史を長く正確に刻んでくれることと思います。

最後になりましたが、在校生一同を代表して、支援してくださった皆さまへの感謝を込め、本校のますますの発展を願いつつ、喜びのことばといたします。

筑波大学附属聾学校
高等部生徒会会長
横尾友美


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