快挙!第32回「全国高校生読書体験記コンクール」

文部科学大臣奨励賞(全国1位)受賞

快挙! 第32回「全国高校生読書体験記コンクール」文部科学大臣奨励賞(全国1位)受賞しました。本校生徒が全国の普通高校の高校生が多く参加したコンクールで全国第1位に輝きました。

入賞にも2名選ばれました。

このコンクールは、財団法人一ツ橋文芸教育振興会が、各地の新聞社のご協力をいただき「高校生のための文化講演会」とともに毎年実施しているもので、多くの高校生ができるだけたくさんの本と出会うきっかけをつくることを目的としています。第32回は、全国47都道府県から、406校の参加があり、応募作品は、114,802編となりました。

選考にあたっては、まずそれぞれの高校において各高校が5編を選出し、各都道府県ごとに集計後、後援の新聞社が選定された選考委員により優秀賞と入選作が選ばれます(北海道は高等学校文化連盟図書専門部会、青森県と岩手県は高等学校文化連盟文芸専門部会が選考)。さらに各県を代表する「優良賞」作品の中から、昨年12月4日、東京のホテル・グランドパレスにて開かれた中央選考委員会の席上、8編が「中央入賞」に選定されました。


第32回「全国高校生読書体験記コンクール」公式ページへのリンク(別ウインドウで開く)


【表彰式】

平成25年1月28日(月)午前10時半より、東京ホテル・グランドパレスにて

   文部科学大臣奨励賞 1編 賞状・楯・記念品

【主催】

   財団法人一ツ橋文芸教育振興会

【後援】

文部科学省・都道府県教育長協議会・全国高等学校長協会・集英社など

【第32回「全国高校生読書体験記コンクール」中央入賞者】

文部科学大臣奨励賞

千葉県 筑波大学附属聴覚特別支援学校高等部2年

   那須 映里  灰と化す思考

(体験書籍 『華氏451度』 レイ・ブラッドベリ 著 宇野利泰 訳)


選考委員による選評(各委員、一部抜粋)

灰や砂と化すことのない思考  辻原 登

 読書体験記コンクールに最も適しいエッセイが最優秀賞に選ばれた。

レイ・ブラッドベリは去年亡くなったが、彼の代表作の一つ、『華氏451度』のあらすじは多くの人々が知っている。また、F・トリュフォーによって映画化され、世界中の人々がみて、魅了された。しかし、あらすじを知っただけで、映画をみただけで、この作品のエッセンス(本質)がほんとうに伝わっているだろうか・・・・・・。

那須映里さんの「灰と化す思考」はそこのところに切り込んでゆく。その思考は高校生とは思えない。電動式掘削機のように鋭く、力強く仮借ない。どこで身につけたのだろう。もちろん、読書によってだ。那須さんは、読書についてこう書く。

・・・・・・つまり、本には、その作品の一部分の情報であるあらすじ(傍点 辻原)を読んだだけでは分からないことが、目に見えない無数の襞のように隠されているのである。

あらすじとは、その作品の一部分の情報にすぎない、と那須さんは看破した。エッセンスはあらすじにはない、と言っている。時間をかけた読書行為の中からしかほんのエッセンスは現れない、と。ここに那須さんの高度な批評精神をみて、感心した。この批評精神のあるかぎり、思考は決して灰と化すことはないだろう。

強さの魅力、危うさの魅力   穂村 弘

 「灰と化す思考」では、「本の所有や本を読むことを法律で禁止され、テレビやラジオなどの娯楽に溺れて考えることをしなくなった人々のいる『華氏451度』の世界」と、「活字離れ」が深刻とされる我々の現実世界とが比較されている。

強制ではなく自ら進んで本を手放す現実の方が或る意味では危機的とも云えるわけだが、このような状況を捉えた文章は鋭い。

「この世界も華氏451度、すなわち人々が本を不要物とし、思考することをやめる温度に達したら、人々の思考する力も紙同様燃えあがり、後に残るのは灰となった本と思考しなくなった人々だけになるのだろうか。私は嫌だ」などの記述には、「本」を「思考」のメタファーとして展開してゆく言葉の力を感じる。

リズミカルな強さのある文体に加えて、全体を象徴する「灰と化す思考」というタイトルも魅力的だ。

本と出合う  角田光代

「灰と化す思考」は、視点がユニークだ。しっかりと自分の言葉を使って、巧みな構成で描かれている。活字離れという、世間で行われていることをそのままにとらえず、自分のものにして思考し、掘り下げている。本を読むということは、何かの利益を得ることではない。教養のためでも、勉強のためでもない、もっとゆたかなものがそこにあるはずだと、この作品はあらためて気づかせてくれる。

読書とは人間と社会の質に関わる 文部科学省初等中等教育局主任視学官 田中孝一  高校時代の読書体験は、その時だけでなく、後々の自己形成にも大きく影響を与えるものです。私の場合、高校卒業後数十年経た現在でもますますそのことを実感しています。

文部科学大臣奨励賞の那須映里さん(筑波大学附属聴覚特別支援学校高等部2年)の「灰と化す思考」は、レイ・ブラッドベリ著(宇野利泰訳)『華氏451度』を体験書籍として、体験書籍と現在との共通点を人々が本を必要としなくなったことだと認識を述べた上で、読書することと人間が思考することとの結びつき、ひいては社会の在り方との関係などについて考察を進めています。那須さんが考えたのは、読書を通して個人だけではなく、社会もその質が保てるということではないでしょうか。情報を鵜呑みにしないで物事を深く考えることの大事さを標榜しつつ、これから成長し生きていく社会への、那須さん自身のまなざしが、読書という積極的な営為を伴って鋭くなっていく様がうかがわれます。

思考と想像 全国高等学校長協会 村越和弘

「灰と化す思考」(那須映里)は、『華氏451度』の読書体験記で、かつて映画化もされた作品だ。那須さんは「私たちは『人間が思考しなくなること』の恐ろしさを想像し、今、世界がぎりぎりの状態であることをしっかりと受け止めなくてはならないと思う。」と警鐘を鳴らしている。

インターネット上には無限の世界が広がり、情報量は計りしれない。ツイッター花盛りで、表現者も飛躍的に増えた。しかし、「思考」のない表現、「想像」を駆り立てない表現は何も生み出すことはないだろう。

「活字離れ」を「物事に対して深く考えずに情報を鵜呑みにする人々が増えた証拠ではないか」という指摘には同感する。読書は思考を深め、想像力を豊かにする。まさに「読書体験記コンクール」の意義を言い当てた体験記である。

本校での伝達式の様子です  

【千葉県展入選】

高3 宍戸 彩 助けて、助けられる人生

(体験書籍 『命のカウンセリング』 長谷川 泰三 著)

高2 峯 明香里 お互いの見えない壁

(体験書籍 『レインツリー』 有川 浩 著)

本校での伝達式での様子です


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