卒業生の声
第6回 市原 智美さん(27期生)
2000年 筑波大学附属聾学校歯科技工科卒業
千葉県内の歯科医院に勤務
2007年 アメリカ合衆国カリフォルニア州 A.I.T.I. 入学
2008年 A.I.T.I. 修了、 DenTech International Inc. 勤務
2010年 日本に帰国
アメリカ行きを決意
私はアメリカに行く前に6年間、千葉県内の歯科医院に勤めていましたが、海外に興味があり、ハワイなどで働いてみたいと思っていました。
でも英語がすごく苦手だったし、仕事ではセラミックの経験もなくて、いきなりアメリカに行って大丈夫だろうか?という心配もありました。
海外で働く方法を調べていくうちに、歯科技工専門誌のQDTの情報で、アメリカでインプラントとセラミックを中心に最新歯科技工を学べるA.I.T.I(The Aesthetic and Implant Technology Institute)という学校があることを知りました。さらに、アメリカで働いた経験のある学校の先輩のアドバイスもあり、渡米を決意しました。
A.I.T.I 入学
まず必要なのが住まいですが、英語ができる学校の先生がアパート探しを手伝って下さいました。一人暮らしでもよかったのですが、初めてのアメリカで怖さもあったので、結局、A.I.T.Iの同級生の女性4人でアパートをシェアすることにしました。
他に同級生は男性が5人いましたが、年齢もバラバラで、日本の歯科技工士学校を卒業したばかりの人もいるし、私のように働いてから来た人もいます。みんな明るくて楽しいクラスでした。私が聞こえないことも理解してくれて、いろいろと助けてくれました。
ハロウィンの時は、みんなで仮装して、そのまま歯科技工をやっていました。
ハロウィンでは仮装!
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語学学校
A.I.T.Iでは午前中には語学学校に行き、午後に歯科技工の勉強をします。
私は英語が本当に苦手だったのですが、アメリカで働くためには、どうしても英語が必要です。
もちろん1番下のレベルから入ったのですが、ABCからと思っていたら、いきなり買い物の時の会話で、「これはいくらですか?」とか、「これよりも大きいサイズはありませんか?」といった会話から始まって、どんどんレベルアップしていきました。
口話だけだったので、最初はわかりませんでしたが、だんだんと慣れてきて、口の動きで読み取りもできるようになりました。
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Den Tech 入社
1年間で学校が終わって、日本に帰ろうとも思ったのですが、まだアメリカに残りたい気持ちがあり、結局、A.I.T.IとつながりのあるDen Tech(デンテック)という会社の入社試験を受けて合格し、入社しました。
Den Techは日本の会社で、歯科技工士は皆日本人なので、社内は日本語が通じますが、ドクターや患者さんとのコミュニケーションがありますので、やはり英語が必要になります。
日本とアメリカの違いを感じたのは、患者さんが勉強していて、質問のレベルがすごく高かったことです。私の方からの説明が必要ないぐらい、歯だけではなくて体のこと全般の知識が高いのです。
アメリカでは、日本の国民健康保険のような公的な保険はなく、全般的に医療費が高いので、患者さんは治療に高いお金を払います。だから前もってインターネットで調べて、どういうものが口の中に入るのか、そういうことを調べてから治療に来る患者さんが多いのです。
ちゃんと新しい材料のことなどを勉強しておかないと患者さんの質問に答えられないので、毎日が勉強でした。
Den Techは技術レベルが高く、技工料も高いです。だから下手には作れない。上手に作らないとドクターが離れてしまいます。値段に見合ったものを作らないといけません。
私は日本で6年間働いていたということで、できると勘違いされて難しいケース任され、失敗してしまったことがあります。
でも失敗すると、こうすれば良かったというアイデアが生まれてくるので、難しいケースをダメと思わないで挑戦する気持ちも必要だと思います。失敗も含めて良い経験だったと思います。
Den Tech
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仕事内容
Den Techで私が製作したインプラント技工のケースを紹介します。
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上顎無歯顎でインプラントが4本埋入されています。
サブストラクチャー(支台部分、アバットメント)はチタン、歯肉部分はハイブリッドレジンです。
スーパーストラクチャー(歯冠部、上部構造)はポーセレンで、臼歯がメタルコーピング、前歯がジルコニアコーピングです。
こういったフルマウスの症例を月に3~4ケース作りましたが、合わなくて戻ってきて、作り直しということもあり、大変でした。
でも、ドクターが「良かったよ」とわざわざ言いに来て、お菓子まで頂いたこともありました。歯科技工士をやって本当に良かったと思いました。
日本では経験したことがなかった技工をいろいろ経験することができ、本当にいい経験だったと思います。
Den Techで1年半働きましたが、ビザの期限が切れてしまったので、半分仕方なく日本に帰ってきました。ビザが切れなければ、もっと長く働きたかったと思います。
後輩達へのメッセージ
アメリカに行ってみて思ったことは、やはり自分一人では何もできない。周りの人がいたから、今の私がいるという事です。
もしアメリカに行ってみたいと少しでも思ったら、行くといいと思います。親はすごく心配すると思いますが、必ず助けてくれる人がいます。
私もたくさんの友達ができました。
また、行く前は「アメリカ人は歯が大きい」と思っていたのですが、実際に見てみると、大きさも形も同じでした。なので、学校で毎日カービングの練習をすることが大事だと改めて思いました。
歯科技工は誰でもすぐに出来るものではありません。だからこそ学校で基本の歯の形や口腔の仕組み等、基礎をしっかり身に付ければ、世界中どこでも通用すると思います。
これから大変なこともあると思いますが、夢を持って頑張って下さい。
(2010年7月 歯科技工科保護者会・講演会)
ハロウィンでは仮装!
Den Tech