卒業生の声|筑波大学附属聴覚特別支援学校 歯科技工科 

卒業生の声

津田康平

第9回 津田 康平さん(34期生)

2007.3  筑波大学附属聾学校歯科技工科卒業
2007.4  株式会社ギコウ(福岡県春日市)入社
2014.3  優秀社員表彰 授与


歯科技工を選んだきっかけ

高校の時、進路を模索する中、母の勧めで歯科技工士という職業を知りました。自立のために何か技術を身につける必要があると強く考えていたので歯科技工士になることに決めました。幼い頃から細かい作業は好きでしたし、聴覚障害があるので、できるだけ会話の少ない仕事を選びました。
そこで、地元の歯科技工士専門学校に問い合わせ、試験も受けたのですが、聴覚障害に対するサポートができないので、受け入れはは難しいということでした。
悔しい思いをし、いろいろ葛藤はありましたが、気を取り直し、他の学校にも問い合わせましたが、やはり難しいということでした。
そして、聴覚障害者でもきちんと勉学ができる学校をさらに調べた結果、筑波大学附属聾学校に歯科技工科があることがわかりました。安心して学べる環境でしたし、国家試験の合格率と就職率が高かったので、入学を決めました。

歯科技工科に入ってから

私は高校まで普通学校に通っていました。初めて、聾学校に入ってみて… 様々な違いに気付きました。 そして、戸惑うこともたくさんありました。
入学当初は手話が全く出来ませんでしたので、初めてろう学生とのコミュニケーションを取る時は大変でした。今まで普通学校では筆談や口話でやりとりをしてきましたが、こちらでは手話でコミュニケーション…、 しかし、やりとりを繰り返すうちに自然に手話を覚えられるようになり、スムーズに会話、意思疎通を図ることが出来るようになりました。
また、授業は映像を使ったデモストレーションや模型を使って説明するなど、工夫されていて、とても分かりやすく大変勉強になり、しっかり理解することが出来ました。耳のハンデがあっても安心出来る学習環境が整っているのが大きなメリットだと思います。

2年次の実習中の一コマ

3年次の見学旅行 清水寺にて

患者さんの健康に役立つことが喜び

仕事に就いてからの苦労は、精密で小さな物を作るので、なんといってもミクロの細かな作業がずっと続くことです。ちょっとした不注意や手先のブレが患者さんの装着感にマイナスとなって現れてしまうので、常に集中力をキープすることが大切です。
仕事を始めて7年になりますが、決して平坦な道のりではありませんでした。 人間関係はもちろん、仕事が上手くいかず、苛立ちで辞めたいと思うこともありました。でも、辞めれば楽になるかもしれませんが、心のどこかで一生後悔すると考え、周りの人たちに励まされながら頑張って乗り越えました。今、ようやく自分が落ち着いて仕事ができる環境になり、ホッとしています。

この仕事の魅力は健康を影からサポートすること。自分の知識や技術の成果を患者さんが装着する歯科技工物として形に残せることで、患者さんの健康に役立っているという喜びを感じることも魅力の1つです。


平成24年 職場見学に来た後輩たちと

平成26年3月 優秀社員表彰を受けました

後輩たちへのメッセージ

私は社会人になって7年になりますが…まだまだヒヨッコだと思っています。
学校では基本的なことを学ぶ場所なので、社会に出ても…すぐ通用するとは思わないで下さい。
社会に出てこそ、スタートですから!

初めのうちはいろいろ戸惑いや悩みなどが出てくるでしょう。
誰でもそうですし、僕もそうでした。しかし、粘り強く根気強く続けていけば、必ず報われます!
何か大きな壁にぶつかった時は、自分自身への試練だと思って乗り越えて下さい! 乗り越えられない壁はありませんよ!

以前は歯科技工はあまり注目されていませんでしたが、高齢化、超高齢化社会が進んでいる中で、歯科技工士という職業はこれからの社会にとって、ますます重要な存在になるでしょう!

私たちは聴覚障害があり、それぞれに多少なりとも苦労もあり大変な道のりを生きてきたと思います。これからもいろいろな壁にぶち当たるでしょう。でも、聞こえなくてもできることはたくさんあります。私はいつでも前向きに明るく生きていきたいと思います。



(2014年4月)