創立125周年記念式典

学校長式辞
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今日は筑波大学附属聾学校の創立125周年をお祝いする日です。

おおぜいのお客様もいらっしゃって、みなさんといっしょに祝ってくださいます。

私たちの学校は、明治8年(1875年)楽善会(らくぜんかい)ができた年を創立の年としています。楽善会は、明治時代のはじめ、日本にも盲学校や聾学校を作ろうという目的をもった人たちの集まりです。その方々のご苦労のおかげで学校の土地と建物が用意され、明治13年に盲生徒2名、聾生徒2名が入学して学校の活動が始まりました。はじめ盲学校と聾学校はいっしょでしたが、明治43年に東京聾唖学校として独立しました。国立の聾学校として学校名は何度か変わり、昭和53年に筑波大学附属聾学校となりました。学校の場所もはじめは東京築地(つきじ)にあり、次に文京区指ケ谷(さしがや)に移転しましたが、戦争で指ケ谷校舎を失い、昭和21年、今私たちのいる市川の国府台に移ってきました。

長い歴史の間に聾学校の教育も大きく変わりました。昔とちがい、みなさんは1、2歳の小さいころから聾学校に通うようになりました。小学部、中学部、高等部では小学校、中学校、高等学校の友だちとほとんど同じ勉強をしており、交流の機会もふえました。補聴器の進歩で耳を使う可能性が拡がり、また世の中の人が手話について理解してくれるようになりました。コンピュータやファクス、ケータイ電話など文字を使う機械も発達し、とても便利になりました。大学に進学する人、職場や社会で活躍する人もふえてきました。

しかし困難がなくなったわけではありません。勉強をしても聴覚障害のために資格の取れない職業がある、字幕つきのテレビ番組はまだ少なく情報が伝わりにくい、などの例があります。残っている問題をひとつひとつ解決していくのは、21世紀の社会の役目です。そしてみなさんも、多くの困難のあった時代にがんばってきた先輩のことを思い、自分の可能性を最大限のばすよう努力することが大切です。この学校の生徒であることにほこりをもって勉強し、さまざまな経験から学び、友だちとの絆を大切にし、やがて自立し自信をもって21世紀を生きていってほしい、それはご家族の方々、先生がた、今日お見えになったお客様がた、ここにいる私たちみんなの心からの願いです。

みなさんも知っているように、寄宿舎に続いて、秋のおわりから校舎の大改修が始まります。125歳になった附属聾学校への何よりのプレゼントです。21世紀には良い環境で良い教育ができるよう応援していただいたのだと思います。新しい校舎で新しい気持ちで、みなさんも私たち教職員も、応援してくださる方々の期待にこたえていきましょう。

最後にご来賓の皆様に一言御礼を申し上げます。本日はご多忙の中、本校創立記念式典にご列席いただきまして、誠にありがとうございました。昨年度の寄宿舎改修、本年度から始まる校舎大改修は、ご来賓の皆様の本校に対するご支援の賜であり、深く深く感謝申し上げます。また記念誌等の作成には大学からのご支援をいただき、PTA、同窓会、鴻友会、関係の皆様からは記念事業へのご寄付をいただきました。ここにお集まりの皆様を始め、本校の教育を見守ってくださるすべての皆様に御礼を申し上げ、また今後とも末永くご理解とご支援をいただけますよう改めてお願いして、私の式辞を終わります。

平成12年10月7日
筑波大学附属聾学校長
斎藤 佐和


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